この記事は 行政書士・上田 昌芳(第26260602号) の監修のもと公開しています。 詳細を見る →
- リード
- 補助金の「併用」とは何か?中小企業が知るべき基本定義
- 補助金の「落ちやすいパターン」とは?先に知っておくべきリスク
- 補助金の併用がOKになるには?基本ルールと3つの条件
- 補助金を複数申請するには?6ステップの手順
- 製造業・飲食業・IT業の組み合わせ活用事例とは?
- 補助金OKパターン・NGパターンの違いとは?
- 補助金を複数申請するとき、申請順序とタイミングはどう考えるべきか?
- 複数補助金の管理チェックリストと落ちやすい5つのパターン
- 補助金に関するよくある誤解とは?正しく理解しておきたいポイント
- どんな経営者に補助金の併用が向いているのか?
- 専門家への申請支援依頼:費用感と選び方はどう考えるべきか?
- 補助金HACKが選ばれる3つの理由
- まとめ:補助金の「同時申請」は「経費の整理」から始める
- よくある質問
リード
製造業の二代目として設備投資とDXを同時に進めようとしたとき、「補助金をいくつか組み合わせて使えないか」と考えたことはありませんか。
結論からお伝えします。補助金の併用は、原則として中小企業でも可能です。 ただし「同一の経費に対して複数の補助金・助成金を重複して申請・受給することは禁止」という大原則があります。このルールを理解していないと、採択後に取り消しになるリスクもあります。
採択率の現実をまずお伝えします。 ものづくり補助金の採択率は例年30〜40%で推移しています(中小企業庁「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 採択者一覧」より)。IT導入補助金は50〜60%程度です。「申請すれば通る」という感覚で臨むと、計画書の精度が不足して不採択になるリスクが高まります。
採択率30〜40%という現実を踏まえると、「どうすれば採択率を上げられるか」が次の問いになるはずです。 単独申請でも採択が簡単ではない中で、複数補助金の同時申請はさらに計画書の整合性・経費管理の精度が問われます。だからこそ、要件と手順を正確に押さえた専門的なサポートが有効になります。
補助金HACKでは800件以上の相談支援実績(2025年5月時点)から、採択率を高める3つのポイントを確認しています。
- 投資回収期間を数字で示す:「設備投資●円→補助金●円→自己負担●円→年間削減コスト●円→回収期間●年」という形で具体的に記載する
- 補助金の趣旨と事業計画の方向性を一致させる:省力化が目的の補助金に「売上拡大」だけを前面に出した計画書を書かない
- 複数計画書間で事業目的に矛盾を生じさせない:A補助金とB補助金で経営の方向性がブレていないか確認する
また、自己負担額の感覚も重要です。補助率1/2・上限1,000万円の補助金を使って2,000万円の設備投資をする場合、補助金は最大1,000万円、自己負担は1,000万円になります。複数の補助金を適切に組み合わせれば、この自己負担をさらに圧縮できる可能性があります。
この記事では、補助金の併用に関するOK・NGの基本ルール、具体的な組み合わせ事例、申請順序の考え方まで、経営判断に必要な情報を一通り解説します。
まずどの補助金から調べるべきか迷っている方は、中小企業が活用できる補助金の種類と業種別の選び方もあわせてご覧ください。

急いでいる方へ:5分版サマリー
この記事で伝えたいことを先にまとめます。
- 補助金の「併用」(複数受給)は原則OK。禁止されているのは同一経費への「重複申請」
- 製造業なら「設備費→省力化投資補助金系」「IT費→IT導入補助金」が王道の組み合わせ
- 採択された後でも、交付決定が出る前に発注・支払いをすると補助対象外になる(最大の落とし穴)
- 事業計画書には「投資回収期間」を記載することが強く求められる。採択事例を分析すると、投資回収期間が明記されているケースが多い傾向にある
- 実績報告から補助金入金まで3〜6か月かかるため、資金繰り計画に組み込む必要がある
- 事業再構築補助金は2024年で公募終了。後継の中小企業新事業進出補助金(2026年新設)へ移行済み
詳しく確認したい方は、以降の本文をご覧ください。
補助金の「併用」とは何か?中小企業が知るべき基本定義
✓ まとめ
補助金の「併用」とは:1つの会社が複数の補助金・助成金を申請・受給すること。同一事業者が複数制度を活用すること自体は法律で禁止されておらず、禁止されているのは「同一の経費に対して複数の補助金を重ねる重複申請」である。(この定義は採択審査の判断基準にも直結します)
まず「併用」と「重複申請」の違いを整理しておきましょう。この2つを混同することが、大きな誤解につながります。
| 用語 | 意味 | 可否 |
|---|---|---|
| 補助金の併用 | 1社が複数の補助金・助成金を受給すること | 原則OK |
| 同一経費への重複申請 | 1つの経費に対して2つ以上の補助金を申請すること | 原則NG |
| 同一補助金の再申請 | 過去に受給した補助金に再度申請すること | 制度により異なる |
たとえば、新しい製造設備の購入費用に省力化投資補助金を使い、同時期に従業員向けのITシステム導入費用にIT導入補助金を使うのは、経費の対象が別なので問題ありません。一方、同じ設備購入費用に対して省力化投資補助金と別の設備投資補助金を同時に申請するのは、重複申請となりNGです。
補助金の趣旨を理解したうえで、それぞれの経費を適切に割り当てることが、併用成功の基本です。
📌 ポイント
「併用」と「重複申請」は別物です。 複数の補助金を受給する「併用」は多くの場合OK。禁止されているのは、同じ経費に対して複数の補助金を重ねる「重複申請」です。この違いを最初に押さえておきましょう。
補助金の「落ちやすいパターン」とは?先に知っておくべきリスク
複数の補助金を同時申請すると、単独申請よりもミスが起きやすくなります。 補助金HACKへのご相談の中でも、以下のパターンが特に多く見受けられます。
経営者が自力で対応するのが難しいと感じる理由はここにあります。個々の補助金の要件を満たしながら、複数の計画書の整合性を保ち、タイミング管理まで行うのは、相当な手間と知識が必要です。
- 過剰投資:事業規模に見合わない投資額の申請
- 目的と補助金の趣旨のズレ:補助金のねらいと計画の方向性が合っていない
- 補助対象事業・対象経費の記述が曖昧:何の事業に、どの費用を使うかが不明確
- 添付書類の不備・漏れ:複数申請の場合、それぞれで必要な書類が異なる
- 複数計画書間での整合性の崩れ:A補助金では「売上拡大のための設備投資」、B補助金では「省人化のための設備投資」と矛盾した記述をしてしまう
- 計画書にAIをそのまま使用:AIが生成した文章はそれらしく見えても、自社固有の数値根拠や事業背景が欠落しているため、審査担当者が内容の整合性を確認した段階で矛盾が露呈しやすく、不採択につながるケースが増えている
- 投資回収期間の記載漏れ:採択事例を分析すると、投資回収期間が明記されているケースが多い傾向にある。記載がないと審査で大幅な減点対象になるリスクがある
また、計画書の「断定的表現」にも注意が必要です。「絶対に」「必ず達成する」といった強い断言表現は、審査上マイナスに働くことがあります。計画はあくまでも推測・見込みベースで記述するのが基本です。
不採択になった匿名ケース(ご本人の同意を得たうえで詳細を一部変更した事例です)
ケース1(製造業・従業員15名・加工機械2,500万円の設備投資申請):省力化投資補助金を申請。事業計画書に投資回収期間の記載がなく、「年間コスト削減見込み」も根拠となる計算式が示されていなかった。審査で大幅減点となり不採択。再申請時に投資回収計算を追記した結果、採択に至った。
ケース2(飲食業・2店舗経営・Webサイトリニューアル費用が争点):持続化補助金でチラシ・SNS広告費を申請する一方、同じWebサイトのリニューアル費用をIT導入補助金にも計上しようとしていた。事務局への確認で同一経費への重複申請に当たると指摘を受け、どちらか一方の申請を取り下げることになった。
⚠️ 注意
この落とし穴を回避したい方はLINEで無料チェック → 補助金HACKのLINE公式はこちら
補助金の併用がOKになるには?基本ルールと3つの条件
補助金の併用が認められるのは、以下の3条件を満たす場合です。
- それぞれの補助金が対象とする経費が異なること
- 各制度の公募要領で他補助金との重複が禁止されていないこと
- 各補助金の受給要件を個別に満たしていること
条件1:対象経費が重複していないこと
これが最重要の条件です。1つの補助金で補助対象経費(補助金で認められる経費の範囲)として計上した費用は、別の補助金で再度計上することはできません。
具体的には、以下のように経費の種類ごとにどの補助金を使うかを整理することが重要です。
- 設備・機械の購入費 → 省力化投資補助金やものづくり補助金
- ITシステムの導入費 → IT導入補助金
- 広告宣伝費・販路開拓費 → 小規模事業者持続化補助金
- 人材採用・研修費 → 雇用関連の助成金(厚生労働省系)
条件2:各制度の公募要領を個別に確認すること
補助金によっては「他の国の補助金・助成金との重複受給を禁止する」と明記しているケースがあります。公募要領(補助金の申請条件・申請方法・採択基準を記した公式文書)に必ずこの点が記載されているので、申請前に必ず確認しましょう。
条件3:それぞれの制度の申請要件を個別に満たすこと
補助金ごとに対象企業の規模・業種・事業内容が異なります。A補助金の要件は満たしていてもB補助金の要件を満たしていない、ということもあります。各制度について個別に適格性を確認することが必要です。
なお、2026年に新設された中小企業新事業進出補助金(事業再構築補助金の後継制度として中小企業が新分野へ進出する際の費用を支援する補助金。詳細は中小企業庁の公式サイトでご確認ください)と他の補助金を組み合わせる際も、この3条件の確認は同様に必要です。
2026年以降に新設される制度については、中小企業庁公式サイトで随時ご確認ください。補助金HACKのLINE公式では、新設・改正された補助金情報をいち早く登録者にお届けしています。
補助金を複数申請するには?6ステップの手順
複数の補助金を申請する際の実務的な流れを番号付きリストで整理します。
- 対象経費を整理する:どの投資にどの補助金を当てるかを書き出す
- 公募要領を個別に確認する:各補助金の締切・対象経費・重複禁止規定を確認する
- 適格性チェックを行う:企業規模・業種・事業内容が各補助金の要件を満たしているか確認する
- 申請書類を作成・提出する:jGrants(国が運営する補助金の電子申請システム)等で電子申請を行う
- 交付決定日を正確に把握する:採択通知が届いても、交付決定が出るまで発注・支払いはしない
- 発注・実施・実績報告を行う:交付決定日以降に事業を実施し、期限内に実績報告を提出する
この6ステップのうち、最も注意が必要なのはステップ5です。「採択=発注OK」ではありません。次のセクションで詳しく解説します。
製造業・飲食業・IT業の組み合わせ活用事例とは?
業種によって「使いやすい補助金の組み合わせ」は異なります。 補助金HACKへのご相談(800件以上・2025年5月時点)の中で見えてきた、業種別の典型的な活用パターンを紹介します。

製造業の場合(二代目社長・従業員20名・年商2億円の例)
製造業で最も多いのは「既存機械の入れ替え」と「業務効率化のためのシステム導入」の2パターンです。この2つを組み合わせると、以下のような活用が考えられます。
- 中小企業省力化投資補助金(2025年5月現在・公募中):加工機械・製造ラインの入れ替え費用
- IT導入補助金(2025年5月現在・公募中):生産管理システム・在庫管理ソフトの導入費用
それぞれの対象経費が「設備費」と「ITシステム費」で明確に分かれているため、併用のルール上も問題になりにくい組み合わせです。
✓ まとめ
製造業向け併用パターンまとめ:設備費は省力化投資補助金(補助率1/2〜2/3・上限は企業規模・申請内容により異なるため公式サイトで要確認)、IT費はIT導入補助金(補助率1/2〜3/4・上限450万円)に分けて申請するのが最もシンプルで確実。ものづくり補助金(補助率1/2〜2/3・中小企業の生産性向上を支援する補助金)との組み合わせも有効。詳細はものづくり補助金の申請方法と採択のポイントを参照。入金リードタイムは実績報告後おおむね4〜5か月を見込む必要がある。
製造業の完全な計算例(投資回収まで含む)
以下は補助金HACKへのご相談でよく見られる、製造業の具体的なシミュレーション例です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 加工機械の購入費(設備投資総額) | 2,000万円 |
| 中小企業省力化投資補助金(補助率1/2・上限は規模により異なる) | 1,000万円 |
| IT導入補助金(補助率1/2・上限450万円) | 150万円(生産管理システム300万円の1/2) |
| 合計補助金額 | 1,150万円 |
| 実質自己負担額 | 850万円 |
| 生産性向上による年間コスト削減見込み | 約300万円/年 |
| 投資回収期間(自己負担850万円÷300万円) | 約2.8年 |
この計算例のように「設備投資●円→補助金●円→自己負担●円→投資回収期間●年」という形で数字を揃えることが、事業計画書の審査においても重要です。自己負担が当初想定より大幅に下がることで、投資判断のハードルも下がります。
製造業向け補助金併用パターン:対象経費の整理表
| 投資内容 | 推奨補助金 | 補助率 | 補助上限 | 対象経費区分 |
|---|---|---|---|---|
| 製造ライン・加工機械 | 中小企業省力化投資補助金 | 1/2〜2/3 | 企業規模・申請内容により異なる(公式サイトで要確認) | 機械装置費 |
| 生産管理・在庫管理システム | IT導入補助金 | 1/2〜3/4 | 450万円 | ソフトウェア費 |
| 省エネ設備の更新 | 省エネ補助金(省庁系) | 1/3〜1/2 | 制度により異なる | 設備費 |
| 人材研修・技能習得 | 人材開発支援助成金(厚労省) | 45〜75% | 制度により異なる | 研修費 |
📌 ポイント
製造業は「設備」と「IT」で分けるのが王道です。 設備投資とIT導入を別々の補助金で申請するのが最もシンプルで確実な併用パターンです。経費の区分けが明確になるため、審査上のトラブルも起きにくくなります。
飲食業の場合(1〜3店舗経営・オーナーの例)
補助金申請支援の現場では、飲食業からの申請件数が多い傾向があります。設備投資・内装工事・広告宣伝など、補助対象になりやすい経費が多い業種だからです。
飲食業でよく見られる組み合わせ例:
- 小規模事業者持続化補助金(2025年5月現在・公募中):メニュー表制作費、広告宣伝費(チラシ・SNS広告)
- IT導入補助金:POSレジシステムの導入費用
この組み合わせも、「販路開拓・宣伝費」と「ITシステム費」で経費が分かれるため、適切に管理すれば併用可能です。入金リードタイムはIT導入補助金でおおむね3〜4か月を見込む必要があります。
✓ まとめ
飲食業向け併用パターンまとめ:広告宣伝費は持続化補助金(補助率2/3・上限200万円)、POSレジ等のITシステムはIT導入補助金(補助率1/2〜3/4・上限450万円)に分けて申請するのが基本。厨房機器の省エネ改修は省エネ補助金の対象になるケースがある。
飲食業向け補助金併用パターン:対象経費の整理表
| 投資内容 | 推奨補助金 | 補助率 | 補助上限 | 対象経費区分 |
|---|---|---|---|---|
| チラシ・SNS広告・メニュー表 | 小規模事業者持続化補助金 | 2/3 | 200万円 | 広告宣伝費 |
| POSレジ・予約管理システム | IT導入補助金 | 1/2〜3/4 | 450万円 | ソフトウェア費 |
| 厨房機器の省エネ改修 | 省エネ補助金 | 1/3〜1/2 | 制度により異なる | 設備費 |
| 新規スタッフの採用・研修 | キャリアアップ助成金(厚労省) | 経費の一部 | 制度により異なる | 研修費 |
IT・サービス業の場合(従業員10名以下・Web系の例)
IT業は「自社でできる部分が多いため、補助金の対象になりにくいケース」もあります。Webサイト制作やデザインを自社でできる場合、外注費としての計上ができないからです。
ただし、以下のような場合は補助金活用の余地があります。
- 新サービス開発のためのサーバー・クラウド費用:IT導入補助金の対象になるケースがある
- 採用・研修コスト:雇用関連の助成金と組み合わせる
✓ まとめ
IT業向け併用パターンまとめ:業務管理・プロジェクト管理ツールはIT導入補助金(補助率1/2〜3/4・上限450万円)、採用・研修費は人材開発支援助成金(補助率45〜75%)が活用しやすい。新規事業に参入する場合は中小企業新事業進出補助金との組み合わせも検討できるが、最新の公募要領で要件を必ず確認すること。
IT業向け補助金併用パターン:対象経費の整理表
| 投資内容 | 推奨補助金 | 補助率 | 補助上限 | 対象経費区分 |
|---|---|---|---|---|
| 業務管理・プロジェクト管理ツール | IT導入補助金 | 1/2〜3/4 | 450万円 | ソフトウェア費 |
| 新規事業の開発サーバー費 | IT導入補助金(要件確認必須) | 1/2 | 制度により異なる | クラウド利用費 |
| 採用・研修費用 | 人材開発支援助成金(厚労省) | 45〜75% | 制度により異なる | 研修費 |
| 販路開拓・展示会出展 | 小規模事業者持続化補助金 | 2/3 | 200万円 | 販路開拓費 |
中小企業新事業進出補助金(事業再構築補助金の後継制度として2026年新設。詳細は中小企業庁公式サイトで要確認)は、IT・サービス業が新規事業に参入する際の費用を幅広くカバーできる可能性があります。IT導入補助金と組み合わせることで、新規事業開発に必要なシステム費・クラウド費を複数の補助金でカバーできるケースがあります。詳細は最新の公募要領でご確認ください。

補助金OKパターン・NGパターンの違いとは?
「どの組み合わせがOKで、どの組み合わせがNGか」を経費の観点から整理すると、判断がシンプルになります。
OKパターン:異なる経費・異なる目的の組み合わせ
| 組み合わせ例 | 対象経費の違い | ポイント |
|---|---|---|
| 省力化投資補助金+IT導入補助金 | 設備費(製造ライン)+ITシステム費 | 経費の種類が明確に異なる |
| 持続化補助金+雇用調整助成金 | 広告宣伝費+人件費(雇用維持) | 補助金と助成金の組み合わせ |
| 省エネ補助金+IT導入補助金 | 省エネ設備費+業務管理システム費 | 設備とシステムで明確に分離 |
| 中小企業新事業進出補助金+持続化補助金 | 大型設備投資費+販路開拓費 | 投資規模・目的が異なる |
NGパターン:同一経費への重複申請
| NGパターン例 | 問題点 |
|---|---|
| 同じ機械購入費に省力化投資補助金と別の設備補助金を両方申請 | 同一経費への重複申請 |
| 同じWebサイト制作費に持続化補助金とIT導入補助金を両方申請 | 同一経費への重複申請 |
| 同一の補助金に採択後、同一経費で再度申請 | 採択後の重複利用 |
⚠️ 注意
「重複申請」は採択後でも取り消しリスクがあります。 採択が決まった後に重複申請が発覚した場合、補助金の交付が取り消しになることがあります。申請段階だけでなく、交付決定後の実績報告時にも経費の使途を細かくチェックされます。
補助金併用のグレーゾーン:制度によって判定が分かれるケース
明確なNGではないものの、慎重に判断が必要なケースがあります。
補助対象経費の一部が重なるケース
たとえばWebサイト制作費の一部を持続化補助金に、残りをIT導入補助金に申請しようとするケースです。費用を分割して計上することが認められる制度もあれば、「主たる目的がどちらか」で判定する制度もあります。公募要領を読んだだけでは判断が難しく、事務局への問い合わせが必要になることもあります。
補助金Aの採択後に補助金Bを申請するケース
対象経費が別であれば問題ありませんが、補助金Aの交付決定前に補助金Bの発注・支払いを行うと、どちらの対象経費にもならないリスクがあります。複数の補助金を同時進行させる場合は、それぞれの交付決定日を個別に管理することが不可欠です。
補助金を複数申請するとき、申請順序とタイミングはどう考えるべきか?
複数の補助金を同時進行で申請する場合、「交付決定日」のタイミング管理が最大の落とし穴です。 採択されても交付決定が出る前に発注・支払いをしてしまうと、その経費は補助対象外になります。
補助金申請の基本的な流れは以下の通りです。
- 公募開始:公式ポータルで公募要領が公開される
- 申請書類の作成・提出:jGrants(国が運営する補助金の電子申請システム)等で提出
- 採択通知:採択(補助金事務局が交付する事業者を選ぶこと)の通知が来る
- 交付申請:採択後に改めて交付申請を行う
- 交付決定:事務局が審査し正式に交付を決める(ここから経費の支払いがOKになる)
- 事業実施:補助事業を実施する
- 実績報告:事業完了後に報告書を提出
- 補助金入金:報告承認後に入金(ものづくり補助金は実績報告後おおむね4〜5か月、IT導入補助金は3〜4か月程度かかる)
⚠️ 注意
「採択 ≠ 交付決定」——これが現場で最も多い誤解です。 採択発表の直後に発注・支払いをしてしまい、交付決定日よりも前の支払いだったために補助対象外になるケースが後を絶ちません。補助金HACKへのご相談でも、この誤解に起因するトラブルを多く伺います。

上の図のように、採択通知から交付決定までには通常1〜2か月程度かかります。この期間中に発注・支払いをしてしまうと、審査を通過した後でも補助対象外となり、最悪の場合は採択取り消しになります。
複数補助金を同時進行させる際の注意点
| タイミング | 注意事項 |
|---|---|
| 複数補助金に同時申請する段階 | 各制度の公募期間と締切を確認。スケジュールが重なることは多い |
| 採択後・交付決定前 | どの補助金の「交付決定日」も把握し、その前には発注・支払いをしない |
| 交付決定後の事業実施段階 | どの経費がどの補助金に紐づいているかを明確に記録・管理する |
| 実績報告段階 | 各補助金の報告期限を個別に管理する。混同すると書類不備になる |
実績報告から補助金が入金されるまでは3か月〜半年かかるのが一般的です。「こんなに時間がかかるとは思わなかった」という声が経営者から多く上がる部分です。資金繰りの計画を立てる際には、この期間を必ず見込んでおきましょう。
地域の上乗せ補助金との併用も検討できます。 都道府県・市区町村が独自に設けている補助金・助成金と、国の補助金を組み合わせるケースも増えています。たとえば「製造業向けの県独自の設備補助金」と「国のIT導入補助金」を組み合わせることで、自己負担をさらに圧縮できる可能性があります。地域の補助金は各自治体の産業振興課・商工会議所に問い合わせるのが確実です。中小企業が活用できる補助金の種類と業種別の選び方でも地域別の主要補助金を掲載しています。
複数補助金の管理チェックリストと落ちやすい5つのパターン
複数の補助金を同時進行で管理する場合、書類管理のミスや計画書の整合性不足が不採択の原因になりやすくなります。 以下のチェックリストで自社の準備状況を確認してください。
補助金を複数管理するためのチェックリスト
- 各補助金の申請締切日・交付決定予定日を一覧化しているか
- 各補助金で申請する「対象経費」に重複がないか確認したか
- 各補助金の公募要領で「他補助金との重複禁止」規定を確認したか
- 「投資回収期間」を計画書に明記しているか(採択事例では明記されているケースが多い傾向にある)
- 交付決定日前に発注・支払いをしないようスケジュール管理できているか
- 実績報告の提出期限を各補助金ごとに把握しているか
- 複数の計画書間で事業の目的・内容に矛盾がないか確認したか
📌 ポイント
「投資回収期間」の明記は採択に直結します。 補助事業は投資回収が前提であり、採択事例を分析すると投資回収期間が具体的に記載されているケースが多い傾向にあります。「設備投資●円→補助金●円→自己負担●円→年間削減コスト●円→回収期間●年」という形で具体的な数字を示してください。
補助金HACKへのご相談から見えた、複数補助金申請で落ちやすい5つのパターン
補助金HACKでは多くの中小企業から申請支援のご相談を受けています(800件超・2025年5月時点)。その中で繰り返し見られる、不採択につながりやすいパターンを整理しました。
- 計画書の事業規模と申請額の乖離:年商5,000万円の企業が3,000万円の設備投資を申請するなど、規模感が合っていない
- 複数計画書間の事業目的の矛盾:A補助金では「新分野への進出」、B補助金では「既存事業の効率化」と書いており、全体の方向性が見えない
- 対象経費の計上ミス:消費税や保険料など補助対象外の費用を計上してしまっている
- 添付書類の制度間での混同:A補助金の書類をB補助金の申請に誤って添付してしまう
- 投資回収期間の未記載または非現実的な数値:「3年で回収」と書いているが根拠となる計算が示されていない
補助金に関するよくある誤解とは?正しく理解しておきたいポイント
補助金に関するネット上の情報には、誤ったものも少なくありません。 特に併用に関連して、経営者の間で広まりやすい誤解を整理します。
Q:個人事業主は補助金を受け取れないのか?
A:個人事業主が対象になる補助金は多数あります。小規模事業者持続化補助金(小規模事業者の販路開拓を支援する補助金)は個人事業主も対象です。補助金HACKへのご相談でも、「個人事業主だからNGという制度はほぼない」というのが私たちの実感です。
Q:申請してすぐに入金されるのか?
A:実績報告から入金まで3〜6か月かかるのが一般的です。補助金は「事業完了後の後払い」が基本です。複数の補助金を活用する場合、それぞれの入金時期を見越した資金繰り計画が欠かせません。概算払い(事業実施中に概算で先に支給される制度)が使える補助金もありますが、全制度ではないため要確認です。
Q:IT導入補助金でパソコンが買えるのか?
A:PCだけでは申請できません。IT導入補助金(中小企業のITツール導入を支援する補助金。補助率1/2〜3/4、補助上限最大450万円)は「ITツール導入のために必要なPC」であれば対象になる場合がありますが、単なるPC購入のみでの申請はできません。「ITツール導入が主、それに付随するPCが対象」という順序です。
Q:事業再構築補助金はまだ使えるのか?
A:事業再構築補助金は2024年で公募終了済みです。一部のWebサイトやAI生成記事には、事業再構築補助金(2024年で公募終了済み)を「現在申請できる」かのように記載しているものが残っています。後継制度の中小企業新事業進出補助金(2026年新設。中小企業が新分野へ進出する際の費用を支援する補助金。事業再構築補助金とは別の制度であり、要件・補助内容が異なる点に注意)の詳細は、中小企業庁の公式サイトで最新の公募要領をご確認ください。

どんな経営者に補助金の併用が向いているのか?
複数の補助金を組み合わせることで効果が出やすい経営者像を正直にお伝えします。逆に言えば、「全ての企業に補助金の併用が必要か」というと、そうではありません。
補助金の併用が特に有効なケース:
- 設備投資・IT導入・販路開拓を同時に進めようとしている
- 1つの補助金の上限額だけでは投資規模をカバーできない
- 複数の事業軸(製造+販売、店舗+EC等)を持ち、それぞれに対応する補助金がある
- 創業5年以内で複数の成長投資を同時に検討している
一方で、補助金の併用があまり向かないケース:
- 検討している投資が1件のみで、経費の分類が単純
- 申請書類の作成・管理にかけられる時間・人手が極めて限られている
- 投資額が小さく、補助金申請のコスト(時間・費用)対効果が合わない
補助金HACKでは「使えるかどうか」を正直にお伝えする相談を心がけています。「うちの状況で本当に効果があるか」を確認したい方は、まず無料シミュレーションからご相談ください。
専門家への申請支援依頼:費用感と選び方はどう考えるべきか?
複数の補助金を同時に進める場合、専門家のサポートを活用することで採択率が高まり、事務負担も軽減できます。 ここでは、依頼時の費用感と選び方の目安を整理します。
申請代行の費用相場(一般的な相場感として)
補助金申請支援の業界では、以下のような料金体系が見られます(あくまでも一般的な相場感であり、個別の見積もりは各支援事業者にご確認ください)。
| 支援タイプ | 着手金の相場 | 成功報酬の相場 |
|---|---|---|
| 行政書士・社労士 | 5〜30万円 | 採択額の10〜20% |
| 補助金専門コンサル | 0〜20万円 | 採択額の10〜30% |
| 税理士法人(顧問先向け) | 顧問料に含むケース多い | 0〜10% |
補助金の種類によっても料率の傾向が異なります。
- ものづくり補助金・中小企業新事業進出補助金:採択額が大きいため成功報酬は10〜15%程度
- 小規模事業者持続化補助金:採択額が小さい(上限200万円程度)ため、成功報酬率は15〜25%になるケースもある
なお、補助金申請の代行業務については、行政書士法上の規制に注意が必要です。書類作成の代行については有資格者(行政書士等)の在籍を確認することをおすすめします。
専門家に依頼する場合の確認ポイント
- 不採択時の費用の扱い:着手金の返金ルールは事前に確認する
- 有資格者(行政書士・中小企業診断士等)の在籍:信頼性の指標になる
- 料金体系の透明性:成功報酬率・着手金が明示されているか
- 得意分野:補助金の種類によって専門性が異なるケースがある
補助金HACKでは、LINE公式を通じた相談を受け付けています(800件超の支援実績・2025年5月時点)。「どの補助金が自社に合うか」「複数の補助金を同時申請する際の整理方法」など、お気軽にご相談ください。
補助金HACKが選ばれる3つの理由
📌 ポイント
補助金HACKがLINE相談で選ばれる3つの理由
- 実績800件超(2025年5月時点):製造業・飲食業・IT業など幅広い業種の支援経験から、自社に合った組み合わせを提案できます
- 採択率約80%(2023年4月〜2025年3月・自社管理案件のうち採否が確定した案件を対象とした自社集計・推定値):計画書の整合性チェックと投資回収計算の支援により、採択率の高い申請書類づくりをサポートしています
- 一次ソース照合を必ず実施:公募状況・要件・補助率は常に公式サイトで確認し、古い情報をもとにした誤った申請を防ぎます。最新制度の情報はLINE登録者にいち早くお届けしています
まとめ:補助金の「同時申請」は「経費の整理」から始める
この記事で解説してきた内容を整理します。
補助金の併用は、中小企業でも原則として可能です。 大前提となるのは「同一の経費に対して複数の補助金を重複して申請しない」というルールの遵守です。
重要ポイントを振り返ります。
- 補助金の「併用」と「重複申請」は別物。前者はOK、後者はNG
- 製造業なら「設備費→省力化投資補助金系」「IT費→IT導入補助金」が王道パターン
- 採択後でも「交付決定日前の支払い」は補助対象外になる。タイミング管理が要
- ものづくり補助金は入金まで実績報告後おおむね4〜5か月、IT導入補助金は3〜4か月かかる
- 事業計画書には「投資回収期間」を明記することが強く求められる。採択事例を分析すると、記載があるケースが多い傾向にある
- 事業再構築補助金(2024年で公募終了済み)のような終了済み制度と現在公募中の制度を混同しない
- 中小企業新事業進出補助金は事業再構築補助金とは別の制度(2026年新設)。要件・補助内容が異なるため、公式サイトで要件を必ず確認する
複数の補助金を賢く組み合わせることで、設備投資・DX・販路開拓を同時進行させながら自己負担を大幅に抑えることができます。
次のステップ:読み終わったらこの4段階で動く
この記事を読み終わったら、以下の順番で行動することをおすすめします。
- 経費分類:現在検討している投資を「設備費」「IT費」「広告宣伝費」「人件費」に書き出す
- シミュレーション:各経費に対応する補助金と補助額・自己負担額・投資回収期間を試算する
- 公募確認:各補助金の公式サイトで現在の公募状況・締切・要件を確認する
- 相談:不明点や申請書類の準備に不安がある場合は専門家に相談する
まずはステップ1(経費分類)から始めて、不明点があればLINEで気軽にご相談ください。
監修・著者情報:本記事は補助金HACKの編集チームが作成しています。補助金申請支援の実務経験(800件超・2025年5月時点)をもとに執筆しており、掲載情報は一次ソース(経済産業省・中小企業庁等の公式サイト)との照合を行っています。資格・登録番号等の詳細は補助金HACKの運営者情報をご覧ください。
本記事の情報は2025年5月時点のものです。補助金の公募期間・要件・補助率は随時変更されます。申請前には必ず各補助金の公式サイト(経済産業省・中小企業庁等)で最新情報をご確認ください。
よくある質問
補助金は複数同時に申請できますか?
補助金と助成金は同時に受け取れますか?
採択後に別の補助金を申請してもよいですか?
補助金の申請に順序はありますか?
個人事業主でも補助金の併用はできますか?
過去に受給した補助金と同じ補助金に再申請できますか?
:::point[次に読みたい記事] 補助金活用は「申請して終わり」ではありません。次のステップでつまずきやすいポイントを先取りして解説しています。
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