【支援800件・採択率80%】中小企業は補助金を複数同時に使える?併用OKとNGのルールを整理

この記事は 行政書士・上田 昌芳(第26260602号) の監修のもと公開しています。 詳細を見る →

✓ まとめ

本記事の補助金情報は執筆時点(2025年6月)のものです。公募状況・補助率・上限額は変更される場合があるため、申請前に各事務局の公式サイトで最新情報をご確認ください。

# 補助金の併用・同時申請で中小企業が得する完全ガイド

「父から引き継いだ機械がそろそろ限界で、でも設備投資に数百万円を一度に出すのは難しい」——製造業の二代目経営者から、こうした相談を多くいただきます。後継ぎとしてプレッシャーを抱えながら投資判断を迫られるとき、補助金の組み合わせ活用が自己負担を半分以下に圧縮する突破口になります。

実際には、複数の補助金を組み合わせて同時活用できるケースが多く存在します。設備投資にものづくり補助金、ITシステム導入にIT導入補助金、販路開拓に小規模事業者持続化補助金——これらを同時に活用することで、自己負担を大幅に圧縮できる可能性があります。

たとえば設備500万円+システム100万円の投資を行う場合、補助金を適切に組み合わせることで自己負担を約300万円まで圧縮できるケースがあります(詳細は後述の金額シミュレーション参照)。

補助金の同時活用・同時申請は、原則として認められています。ただし「同一の経費に対して複数の補助金を重複して申請すること」は禁止されており、この点を正しく理解してから申請に臨むことが重要です。

この記事では、補助金支援累計800件・採択実績80%(2022〜2025年・支援800件ベース)の黒江遼氏へのインタビューをもとに、中小企業が補助金を複数活用する際のOKパターン・NGパターン・申請の順序・具体的な組み合わせ事例を整理して解説します。製造業・飲食業の実例付きで、経営判断できるレベルの実務情報をまとめました。補助金HACKでは2026年新制度にも即時対応しており、LINEでのご相談は当日中に回答しています(詳細はLINEでご確認ください)。

補助金の基本的な仕組みから知りたい方は、補助金の基礎解説記事もあわせてご覧ください。

📌 監修者プロフィール

黒江遼(補助金コンサルタント) 中小企業向けの補助金申請支援を専門とし、累計支援件数800件・採択実績80%(2022〜2025年・支援800件ベース)。製造業・飲食業・IT業など幅広い業種の申請をサポート。補助金HACKにてインタビュー監修を担当。

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中小企業の経営者が補助金の資料を複数並べて検討している場面
  1. 補助金の「併用」とは何か?中小企業が知っておくべき基本ルール
    1. 申請から入金までの全体フロー
  2. 補助金を併用すると自己負担はいくらになるか?
    1. シミュレーション例:設備500万円+システム100万円の投資
    2. シミュレーション例:設備1,000万円+IT500万円の大型投資
  3. 補助金の「併用」がOKになる典型パターン5つとは?
    1. パターン1:ものづくり補助金+IT導入補助金
    2. パターン2:小規模事業者持続化補助金+業務改善助成金
    3. パターン3:省エネ設備導入補助金+ものづくり補助金
    4. パターン4:IT導入補助金+人材開発支援助成金
    5. パターン5:補助金(設備投資)+日本政策金融公庫融資
  4. 補助金を同時活用した中小企業の事例:自己負担はどう変わったか?
    1. 事例1:製造業 従業員35名・年商2.5億円(東海地方・2023年度申請)
    2. 事例2:飲食業 2店舗経営・年商8,000万円(関東地方・2023年度申請)
  5. なぜ補助金HACKに相談すべきか:3つの理由
  6. 補助金の重複申請がNGになるのはどんなケースか?
    1. NGパターン1:同じ設備・ツールに複数の補助金を申請する
    2. NGパターン2:同一事業に対して経費を水増しして申請する
    3. NGパターン3:過去に同じ補助金を取得している場合の再申請
  7. 補助金を複数申請するとき、申請順序はどう決めるべきか?
  8. 業種別・規模別:補助金の同時活用の具体パターンとは?
    1. 製造業(従業員20〜50名・年商1〜3億円)の場合
    2. 飲食業(1〜3店舗)の場合
    3. IT・サービス業(従業員1〜10名)の場合
  9. 補助金を複数申請する前の事前チェックリスト
  10. 中小企業が補助金を複数活用するための3つの基本原則とは?
  11. 2026年新制度:新事業進出補助金・成長加速化補助金との併用について
  12. よくある質問

補助金の「併用」とは何か?中小企業が知っておくべき基本ルール

補助金の「併用」とは:複数の補助金を同時期または連続して申請・受給すること。1つの経費に2つの補助金は不可。別経費なら同時申請OK。

📌 補助金併用の60字定義

補助金の「併用」とは、複数の補助金を同時期または連続して申請・受給すること。1つの経費に2つの補助金は不可。別経費なら同時申請OK。

国や自治体が運営する補助金は制度ごとに目的・対象・補助率(補助対象経費に対して支給される割合。補助率1/2なら、投資額の半分が補助される)が異なるため、それぞれの要件を満たせば別々に申請することが可能です。

ただし、補助金の同時活用には重要な大前提があります。それが「同一経費への重複申請の禁止」です。たとえば、1台の製造設備を購入する際に、ものづくり補助金とIT導入補助金の両方から補助を受けることはできません。1つの経費に対して使える補助金は1つまで、というルールです。

補助金と助成金(主に厚生労働省所管の雇用・人材育成系の資金)の組み合わせも、経費の性質が異なるため基本的に問題ありません。製造業の経営者の方であれば、設備投資系の補助金(経産省系)と雇用系の助成金(厚労省系)を同時活用するケースが典型的な例です。

組み合わせパターン可否条件
補助金A+補助金B(別経費)各補助金の対象経費が重複しないこと
補助金A+補助金B(同一経費)×同一経費への重複申請は禁止
補助金+助成金対象経費が異なれば原則OK
補助金+融資制度が異なるため問題なし
補助金+税制優遇(例:中小企業経営強化税制)併用可能なケースが多い(要確認)

申請から入金までの全体フロー

補助金の同時申請を成功させるには、制度ごとのスケジュール感を把握しておくことが重要です。以下が標準的な流れです。

  1. GビズID取得GビズID公式サイトで申請。締切の2〜3週間前までに完了が必須)
  2. 公募スケジュール確認(各補助金の締切・回次を把握)
  3. 経費の切り分け設計(どの投資にどの補助金を充てるか事前設計)
  4. 申請書類作成・提出(公募締切に合わせて提出)
  5. 採択通知(申請から1〜3か月が目安)
  6. 交付決定(採択後に交付申請→事務局審査→正式決定。この日より前の発注は補助対象外
  7. 事業実施・発注・支払い(交付決定日以降に開始)
  8. 実績報告(事業完了後に証拠書類を提出)
  9. 入金(実績報告の承認から3〜6か月が目安)

⚠️ 特に重要:交付決定日より前に発注してはいけない

「採択=補助金が使える」ではありません。採択通知を受け取った後でも、正式に補助金が確定するのは「交付決定」のタイミングです。交付決定前に設備を発注・購入すると、補助対象外になります。このミスは実際に多く発生しています(黒江氏談)。

補助金を併用すると自己負担はいくらになるか?

補助率(投資額に対して補助される割合)と上限額の掛け合わせで、自己負担は大きく変わります。具体的な数字で確認しましょう。

シミュレーション例:設備500万円+システム100万円の投資

投資項目投資額活用補助金補助率補助金額自己負担
製造設備(加工機械)500万円ものづくり補助金1/2250万円250万円
生産管理システム100万円IT導入補助金(通常枠・最大450万円程度)1/250万円50万円
合計600万円300万円300万円

この例では、補助金を同時活用することで600万円の投資が実質300万円の自己負担で実現できます。投資額の半分が補助される計算です。補助金なしで実施した場合と比べると、300万円の資金を手元に残せます。

製造業でのものづくり補助金+IT導入補助金の組み合わせは補助金合計300〜750万円が目安で、中小企業の同時活用で最も件数が多いパターンです。

📌 補助率・上限額は変更される場合があります

上記はあくまでシミュレーション例です。実際の補助率・上限額は公募回次・企業規模・申請枠によって異なります。申請前に各事務局の公募要領(最新版)を必ずご確認ください。

シミュレーション例:設備1,000万円+IT500万円の大型投資

投資項目投資額活用補助金補助率補助金額(上限考慮)自己負担
製造ライン刷新1,000万円ものづくり補助金1/2500万円500万円
ERPシステム導入500万円IT導入補助金1/2250万円250万円
合計1,500万円750万円750万円

1,500万円の投資を750万円の自己負担で実施できる計算です。投資回収の観点でも、自己負担が半減することで回収期間が大きく短縮されます。年間の利益改善効果が150万円と見込まれる場合、補助金なしなら10年かかる回収が、補助金活用により5年で回収できる計算になります。

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補助金の「併用」がOKになる典型パターン5つとは?

「経費の種類が異なる」「補助金の目的が異なる」という2つの軸を満たせば、補助金の同時申請はOKです。

補助金の組み合わせパターンを整理した図解

パターン1:ものづくり補助金+IT導入補助金

製造設備の導入にものづくり補助金(省力化・生産性向上目的)、生産管理システムや受注管理ツールの導入にIT導入補助金を同時申請するパターンです。対象経費が設備費とITツール費に完全に分かれるため、重複の問題が起きにくい組み合わせです。

黒江氏のインタビューによると、製造業での補助金申請は「既存機械の入れ替え」と「業務効率化のためのシステム導入」がほぼすべてのパターンを占めるといいます。この2つは経費の種類が明確に異なるため、同時申請に最も適しています。

パターン2:小規模事業者持続化補助金+業務改善助成金

販路開拓・広告宣伝のために小規模事業者持続化補助金(通常枠:上限50万円、特別枠:上限200万円が目安)を活用しながら、従業員の賃上げ・労働環境改善のために業務改善助成金(厚生労働省所管)を並行して利用するパターンです。補助金と助成金は所管省庁・目的・対象経費がいずれも異なるため、重複の問題は基本的に発生しません。

パターン3:省エネ設備導入補助金+ものづくり補助金

工場の省エネ設備(省エネ型空調・コンプレッサー等)に省エネルギー設備導入を支援する補助金(経済産業省・環境省所管)を活用し、製造ライン本体の刷新にものづくり補助金を充てるパターンです。目的(省エネ改善と生産性向上)と対象設備が異なるため、切り分けが可能です。省エネ補助金は毎年度公募内容が変わるため、最新情報を各省庁の公式サイトでご確認ください。

パターン4:IT導入補助金+人材開発支援助成金

POSレジや受発注システムの導入にIT導入補助金を活用しながら、業務効率化に伴う人材育成費用に人材開発支援助成金(厚生労働省)を組み合わせるパターンです。飲食業や小売業でよく見られます。

パターン5:補助金(設備投資)+日本政策金融公庫融資

補助金は「事業を実施してから後払いで受給」する制度です。補助金が入金されるまでの資金繰りのつなぎとして、日本政策金融公庫の融資を活用するパターンは非常に一般的です。黒江氏によると「実績報告から入金まで3か月〜半年かかる」ため、採択されたあとの資金繰りを考慮した融資との組み合わせが重要だといいます。

パターン組み合わせ主な業種
1ものづくり補助金+IT導入補助金製造業・建設業
2持続化補助金+業務改善助成金小売・サービス業
3省エネ補助金+ものづくり補助金製造業・工場業
4IT導入補助金+人材開発支援助成金飲食業・小売業
5補助金(設備投資)+政策金融公庫融資全業種

製造業でのものづくり補助金+IT導入補助金の組み合わせは補助金合計300〜750万円が目安です。中小企業の同時活用で最も件数が多く、経費の切り分けも明確なパターンです。

補助金を同時活用した中小企業の事例:自己負担はどう変わったか?

製造業では920万円の投資が自己負担460万円に、飲食業では130万円の投資が自己負担52万円に。補助金の組み合わせで投資回収期間が最大半分になった事例を紹介します。

事例1:製造業 従業員35名・年商2.5億円(東海地方・2023年度申請)

老朽化した加工機械の入れ替えと、受注管理システムの刷新を同時に実施。

投資項目投資額活用補助金補助金額自己負担
CNC加工機(2台)800万円ものづくり補助金400万円400万円
受注・生産管理システム120万円IT導入補助金60万円60万円
合計920万円460万円460万円
  • 生産ラインの稼働率が約15%向上
  • 受注ミス・納期遅れが半減し、年間の損失コストを約80万円削減
  • 自己負担460万円に対して年間効果約130万円(コスト削減+売上増)
  • 投資回収期間:約3.5年(補助金なしの場合は約7年)

申請にあたっては経費の切り分けを事前に設計し、ものづくり補助金に設備費、IT導入補助金にシステム費を明確に割り当てました。補助金の同時活用により、回収期間をほぼ半減できた事例です。

事例2:飲食業 2店舗経営・年商8,000万円(関東地方・2023年度申請)

新メニュー開発に伴うPR強化とPOSシステムの刷新を同時に実施。

投資項目投資額活用補助金補助率補助金額自己負担
広告・チラシ・HP制作80万円小規模事業者持続化補助金2/353万円27万円
POSレジ・予約管理50万円IT導入補助金1/225万円25万円
合計130万円78万円52万円
  • 新規顧客の来店数が月平均30件増加
  • 予約管理の効率化で月8時間の業務削減
  • 自己負担52万円に対して月次効果約8万円(来店増+業務効率化)
  • 投資回収期間:約6.5か月

飲食業は広告費・ITツール費を別々の補助金に対応させやすく、少ない自己負担で複数の改善を同時に実現できる典型例です。

📌 事例の数値について

上記は実際の支援事例をもとにした参考値です。補助金額・自己負担額は公募回次・申請枠・審査内容によって変動します。自社の条件での試算はLINEでお気軽にご相談ください。

なぜ補助金HACKに相談すべきか:3つの理由

補助金の複数申請を検討している経営者の方に、補助金HACKが選ばれる理由を3点お伝えします。

  • 採択実績80%・累計支援800件(2022〜2025年・支援800件ベース):製造業・飲食業・IT業など幅広い業種の申請実績をもとに、自社の状況に合った最適な組み合わせをご提案します
  • 2026年新制度への即時対応:新事業進出補助金・成長加速化補助金など新設制度を含め、最新の公募情報を常時追跡。制度変更を見落とさない申請設計が可能です
  • 書類作成をまるごとサポート:「申請書類が大変そう」「何を書けばいいか分からない」という不安を抱える経営者の方に、書類作成から提出までのプロセスを一括でサポートします

営業目的の相談会ではなく、まず御社の状況に合った情報をお伝えすることを優先しています。相談は無料・秘密厳守です。

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LINEでのご連絡をためらう方は、お問い合わせフォームからもご相談いただけます。

補助金の重複申請がNGになるのはどんなケースか?

同一経費への重複申請は補助金の種類を問わず禁止されています。ただし正しく経費を切り分けて申請すれば確実に避けられます。

黒江氏は「採択後に取消になるパターンで最も多いのが、計画内容との乖離と交付決定日前の支払い」と指摘しています。いずれも事前に正しく理解しておけば防げる問題です。

⚠️ 採択取消になりやすいケース(正しく理解すれば避けられる)

以下のケースは採択が取り消される可能性があります。いずれも事前の確認と正しい手順で防ぐことができます。

  • 交付決定日より前に設備を発注・購入した場合
  • 申請した計画内容と実際の用途が異なる場合
  • 同一経費に複数の補助金を申請していたことが発覚した場合

NGパターン1:同じ設備・ツールに複数の補助金を申請する

たとえば、1台の工作機械を購入する際に、ものづくり補助金と中小企業省力化投資補助金の両方から補助を受けようとすることはできません。どちらも「その設備の購入費」を対象経費として申請するため、重複になります。

防ぎ方:投資計画を整理する段階で「どの設備・ツールにどの補助金を充てるか」を1対1で対応づけておく。

NGパターン2:同一事業に対して経費を水増しして申請する

1つの設備を2つの補助金に分けて申請するようなやり方は、意図的かどうかに関わらず不正受給とみなされるリスクがあります。

防ぎ方:経費の総額と各補助金の対象範囲を申請前に一覧表で整理し、金額の重複がないかを確認する。

NGパターン3:過去に同じ補助金を取得している場合の再申請

黒江氏によると「過去に同じ補助金を取得済みの場合は通りにくい」傾向があるといいます。制度上禁止されているわけではないケースもありますが、審査で不利になる可能性があります。

防ぎ方:過去の受給履歴を整理し、再申請の条件を公募要領(補助金の申請条件・審査基準を記した公式文書)で必ず確認する。

NGパターン内容防ぎ方
同一経費への重複申請1つの設備に2つの補助金を申請経費を1対1で補助金に対応づける
交付決定前の発注・購入採択通知後すぐに契約・支払い交付決定通知を確認してから着手
計画内容との乖離申請用途と異なる事業に経費を使う申請内容と実施内容を社内で共有
同補助金の繰り返し申請過去採択済みの補助金に再申請公募要領の条件を事前確認
補助金の重複申請NGと適切な切り分けのイメージ図

「自社の経費切り分けが正しいか不安」という方は、申請前に専門家に確認することをおすすめします。

LINEを追加して経費の内訳を送信いただくと、当日中に確認可否をお返しします。

補助金を複数申請するとき、申請順序はどう決めるべきか?

経費の切り分けと各申請書の整合性確認を先に設計しておくことが、採択率に直結します。

  1. 経費切り分け:投資計画を一覧化し、どの経費にどの補助金を充てるかを1対1で対応づける
  2. 個別作成:補助金ごとに申請書を独立して作成し、内容の転用・流用を避ける
  3. 整合性確認:複数の申請書間で数値・スケジュール・事業目的に矛盾がないかを照合する
  4. 回収計画記載:各申請書に投資回収期間(目安:3〜5年以内)と根拠を明記する
  5. 専門家レビュー:提出前に第三者が申請書全体の整合性を確認する

黒江氏が「大きな減点ポイント」と指摘するのが、投資回収期間の記載漏れです。補助金は公的な資金であるため、事務局側は「この投資が本当に事業の成長につながるか」を審査します。

> 「審査官は投資回収期間から補助の合理性を判断する。目安は3〜5年以内の回収計画で、根拠となる売上・コスト削減の数値をセットで記載することが重要です。」(黒江氏)

回収計画が不明瞭な申請は採択されにくくなります。過度に楽観的な数値も避け、売上・コスト削減の根拠をセットで記載してください。

⚠️ 申請書でやりがちなNG表現

「絶対に売上が上がる」「必ず成功する」といった断定的表現は、計画書に使うべきではありません。計画は推測・見通しに基づくものであり、強すぎる言葉はむしろ計画の信頼性を下げます。「〜が見込まれます」「〜と想定しています」といった表現を使いましょう。

また、黒江氏は「AIに一気に全部書かせると整合性が崩れて落ちる」と注意しています。各パート(自社概要・市場動向・課題・補助事業内容)ごとにAIを活用し、毎回整合性を確認しながら作成することが実務的なアドバイスです。複数の補助金を申請する場合は特に、各申請書の事業計画に一貫したストーリーがあるかを必ず確認してください。

業種別・規模別:補助金の同時活用の具体パターンとは?

業種・規模によって最適な組み合わせは異なります。製造業・飲食業・IT業の代表パターンを整理します。

製造業(従業員20〜50名・年商1〜3億円)の場合

製造業での補助金申請で最も多いのは「既存機械の入れ替え」と「業務効率化のためのシステム導入」の2パターンです(黒江氏談)。この2つは経費の性質が異なるため、組み合わせて申請しやすい典型例です。

  • ものづくり補助金:製造設備・加工機械の導入費(補助率1/2、上限は公募回次・枠により異なります)
  • IT導入補助金:生産管理システム・受発注ツールの導入費(補助率1/2、通常枠・上限450万円程度)
  • 業務改善助成金(厚生労働省):賃金引き上げに伴う設備導入費(別経費)

なお、東京都・大阪府など一部の自治体では国の補助金に上乗せする形の独自補助金を設けているケースがあります。国補助金との組み合わせ可否は自治体ごとに異なるため、都道府県・市区町村の産業振興担当窓口にご確認ください。

飲食業(1〜3店舗)の場合

黒江氏によると、飲食業は「1番お金がかかる業界なので補助金を使いやすい」とのことです。申請件数も多く、活用パターンも多様です。

  • 小規模事業者持続化補助金:チラシ・メニュー表・HP制作・広告宣伝費(補助率2/3、通常枠:上限50万円、特別枠:上限200万円が目安)
  • IT導入補助金:POSレジ・予約管理システム(補助率1/2)
  • 業務改善助成金:厨房設備の刷新に伴う賃金引き上げ支援

IT・サービス業(従業員1〜10名)の場合

黒江氏によると、IT・サービス業は「自分たちでサイトやチラシを作れるため補助金申請数が少ない」傾向があるといいます。ただし、新しいサービス開発や販路拡大の局面では補助金が有効に機能します。

  • 小規模事業者持続化補助金:新規顧客向けの広告・展示会出展費
  • 人材開発支援助成金:従業員研修・スキルアップ費用
業種主な補助金の組み合わせ切り分けの軸補助金額の目安
製造業ものづくり補助金+IT導入補助金設備費 vs ITツール費合計300〜750万円
飲食業持続化補助金+IT導入補助金広告費 vs システム費合計50〜250万円
小売業持続化補助金+業務改善助成金販路開拓費 vs 雇用改善費合計50〜200万円
IT・サービス業持続化補助金+人材開発助成金販促費 vs 育成費合計30〜150万円

製造業でのものづくり補助金+IT導入補助金の組み合わせは補助金合計300〜750万円が目安で、業種別では中小企業の同時活用件数が最も多いパターンです。補助額の目安は公募回次・申請枠・企業規模によって変動します。

ものづくり補助金の詳細はものづくり補助金の解説記事、IT導入補助金の詳細はIT導入補助金の解説記事、小規模事業者持続化補助金の詳細は持続化補助金の解説記事をあわせてご覧ください。補助金と融資の組み合わせについては補助金×融資の活用戦略で詳しく解説しています。

補助金を複数申請する前の事前チェックリスト

複数の補助金を活用する前に以下を確認しておくことで、採択率の低下や取消を防げます。

  1. 申請したい補助金の公募要領を最新版で確認しているか
  2. 各補助金の対象経費に重複がないよう切り分けられているか
  3. GビズID(政府が提供する法人共通認証ID)の取得が完了しているか(未取得なら申請の2〜3週間前から対応)
  4. 採択から交付決定まで発注・購入をしない旨を社内で共有しているか
  5. 実績報告から入金まで3〜6か月かかることを資金計画に織り込んでいるか
  6. 各申請書の事業計画に矛盾がないか(数値・スケジュール・目的の整合性)
  7. 各申請書に投資回収期間が明記されているか
  8. 過去に同じ補助金を受給済みの場合、再申請の条件を公募要領で確認したか

特に「GビズID取得」と「交付決定前の発注禁止」の2点は、初めて補助金申請に臨む経営者の方が誤解しやすい部分です。GビズIDは取得に2〜3週間かかるため、申請締切直前に気づいたのでは間に合いません。採択通知を受け取った後に喜んで発注してしまい、交付決定前だったために補助対象外になるというミスも実際に多く発生しています(黒江氏談)。

補助金申請チェックリストのイメージ図

中小企業が補助金を複数活用するための3つの基本原則とは?

補助金の同時活用で成功する経営者は、経費の切り分け・交付決定のタイミング・資金繰りの3点を事前に設計しています。

この記事で解説した内容を3つの原則に整理します。

  1. 同一経費への重複申請は禁止。補助金を複数使う場合は、対象経費を補助金ごとに明確に切り分けることが大前提です
  2. 採択と交付決定は別物。採択通知が届いてから発注・購入するのではなく、必ず交付決定の連絡を受けてから補助対象経費に着手してください
  3. 入金は後払い・3〜6か月かかる。補助金は事業完了後の後払いであるため、つなぎ資金の確保と融資との組み合わせを事前に設計しておくことが重要です

✓ 補助金の同時活用の成功条件まとめ

  1. 対象経費を補助金ごとに明確に切り分ける
  2. 公募要領を必ず一次ソースで確認する
  3. 交付決定日を起点に発注・購入スケジュールを管理する
  4. 各申請書に投資回収計画を明記する
  5. 入金までの資金繰りを融資と組み合わせて設計する

本記事の情報は執筆時点(2025年6月)のものです。公募状況・補助率・上限額は変更される場合があるため、申請前に以下の一次ソースで最新情報をご確認ください。

自社がどの補助金を組み合わせて使えるか、具体的な受給額のイメージが知りたい方はお気軽にご相談ください。「書類作成が大変そう」という不安がある方も、書類作成から提出まで一括でサポートしています。

2026年新制度:新事業進出補助金・成長加速化補助金との併用について

2025〜2026年にかけて、新事業進出補助金(中小企業が既存事業以外の分野に進出する際の費用を支援)および成長加速化補助金(成長投資の加速を目的とした新たな支援枠)が新設・拡充されています。

補助金名主な対象補助率の目安従来補助金との併用
ものづくり補助金設備投資・生産性向上1/2〜2/3別経費なら原則OK
IT導入補助金ITツール・システム1/2〜3/4別経費なら原則OK
新事業進出補助金新分野への事業展開費2025年6月時点では未公表・公募要領で要確認要件・経費の重複に注意
成長加速化補助金成長投資全般2025年6月時点では未公表・公募要領で要確認要件・経費の重複に注意

⚠️ 2026年新制度の情報は随時更新されます

新事業進出補助金・成長加速化補助金の詳細(補助率・上限額・申請条件)は、公募回次ごとに変更される可能性があります。本記事の情報は執筆時点(2025年6月)のものです。申請前に必ず公式サイトで最新の公募要領をご確認ください。

よくある質問

補助金と融資は同時に利用できますか?
はい、補助金と融資(日本政策金融公庫等)は別制度のため同時利用できます。補助金は返済不要で後払い、融資は返済が必要な先払いという違いがあり、資金繰りを補完し合う組み合わせとして有効です。
補助金と助成金は同時に申請できますか?
原則できます。ただし同一経費への重複申請はNGです。たとえばIT導入補助金でシステム費用を補助してもらいながら、雇用関連の助成金(厚生労働省系)を別途申請することは問題ありません。
ものづくり補助金とIT導入補助金は同時に使えますか?
同一経費でなければ同時申請は可能です。ものづくり補助金で製造設備を導入し、IT導入補助金で生産管理システムを導入するという組み合わせが製造業で多く見られます。事業目的と経費の切り分けを明確にすることが重要です。
採択後に別の補助金に申請することはできますか?
できます。ただし交付決定を受けた補助金の事業実施期間中は、同一経費への他補助金申請は認められません。補助事業が完了し実績報告が済んだ後であれば、新たな補助金の申請を進めやすくなります。
補助金の併用で注意すべき最大のポイントは何ですか?
「同一経費への重複申請禁止」が最重要ルールです。また、交付決定前に購入・契約した経費は補助対象外になります。黒江氏によると採択後の取消事例で最も多いのが「交付決定日前の支払い」と「計画内容との乖離」です。
個人事業主でも複数の補助金を同時に申請できますか?
できます。個人事業主だからといって補助金の受給が制限されるわけではありません。小規模事業者持続化補助金と助成金を組み合わせるパターンが代表的です。ただし各補助金の対象要件を個別に確認することが必要です。

:::point[次に読みたい記事] 補助金活用は「申請して終わり」ではありません。次のステップでつまずきやすいポイントを先取りして解説しています。

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